褒められることが苦手だと感じる心理と対処法

人から褒められた時、どう感じますか?

人から褒められることって、一般的には「良いこと」「嬉しいこと」なのではないでしょうか。

「褒められる」という場面は、誰かの役に立っていたり、誰かを助けていたり、誰かから評価されている時に発生する出来事だったりします。

つまり、状況としては何にも悪くない状況と言えると思うんです。

ただ、「褒められるのが苦手」という感覚、割とご相談としてお聞きすることだったりするんですよね。

一般的に考えるとポジティブな状況なのに、なぜか「褒められるのが苦手」と感じてしまうというのは、ご本人にしか分からない複雑な心境だったりするのかなと感じます。

「褒められるの苦手なんだよね」なんて、お友達や家族に相談しにくい場合もありますしね…

なかなか、褒められるのが苦手な理由って自分では特定しにくいものだと思うのですが、私なりにいくつかの心理パターンが隠れていると思うんです。

もし相手が自分を評価してくれているのに、なぜか嫌な気持ちになるとしたら、その心理パターンを見つめてみるのもいいのかな、と思ったりします。

そこで今回は、「褒められることが苦手と感じる心理」について解説していこうと思います。

よろしければ最後までお付き合いください。

目次

褒められることが苦手と感じる心理

褒められることが苦手だと感じる心理として特徴的な理由を挙げるとすると、

「相手が見ている自分でいなければならないことに、なんらかの抵抗感を感じている状態」と考えられるんです。

褒められているということは、相手は自分に対して少なくとも悪い評価は下していないし、どちらかといえば良い評価をしているということですよね。

その時にもし、相手が見ている自分の価値と、自分自身が認識している価値にズレや差があると感じるとしたらどうでしょうか。

特に、相手から見えている自分自身の姿と比較して、「自分はそんなに凄くないのにな」なんて思っているとしたら。

褒められることに、結構違和感を感じることもあると思うんです。

その違和感の正体というのが、「相手が見ている自分でいなければならないことに、なんらかの抵抗感を感じている状態」であり、それを「怖さ」や「不安」として感じることもあるだろうと推測できるんですよね。

ではここから、「褒められることが苦手」と感じるパターンから、深層心理を探っていきたいと思います。

昔から褒められることが多かった

昔から褒められることが多かったという場合、そもそも褒められる自分でいることが当たり前になると思うんです。

褒められた時に感じる感情としては、

・認められている
・役に立っている
・必要とされている

こういった、自分に対するポジティブな感情だと思います。

ただ、褒められることが当たり前になっているが故に、逆に「特別に褒められない」という状況に必要以上に敏感になってしまうかもしれないんですよね。

つまり、自分の中の当たり前基準をどんどん上げてしまっているといえます。

例えば仕事であれば、

本来は褒められることはプラスαの価値であり、普通に仕事をこなしていることだって素晴らしいし価値があるのに、普通評価のAだと、なんだか落ち込んでしまったり。

その心理状態だと、たとえ普通以上のS評価をもらったとしても、嬉しい!というより、安堵の方が大きくなるかもしれません。

昔から褒められることが多いというのは素晴らしいことであるのに、それが自分の基準を必要以上に高くしてしまい、普段の自分を評価しにくくなる。

言ってみれば、相手からの評価を自分への期待と受け止め、その期待にこたえようと必死になっている状態、ともいえそうです。

その結果、褒められると同時に相手からのプレッシャーのようなものを感じ、褒められるのが苦手と感じることがあるかもしれません。

自信を持つことにネガティブなイメージがある

自分自身の行動や考えに自信を持つことをあまり良くないことだと感じている場合も、褒められることに抵抗感をもつことがあると考えられます。

褒められる、というのは、他人との間で起こることですよね。

ということは、この褒められるのが苦手というのは、”対人関係におけるパターン”と関連しているとも言えると思うんです。

例えば、

子供の頃に「自分のことは謙遜するべきだ」という価値観や風習があったとしたら。

褒められたことがたとえ嬉しいと感じても、「そんなことないよ〜」と言ってみたり、「自分にはこんなダメなところもあるよ〜」と敢えて自分のダメなところを伝えたりすることが、癖になっている場合もあります。

正直、処世術から始まった場合が多いと思うんですよね。

自分の価値を実際に過小評価したり、下げる必要なんてなかったんです。

ただ、謙遜する癖を続けることで、そもそも自信をもつこと自体が悪いことのように感じてしまうこともあると思うんですよね。

私たちは、自分の心と行動が一致していないと違和感を感じます。

つまり今回のパターンだと、本当に自信がない、自分には価値がないように、思い込もうとしたりするんですよね。

自分の中にある違和感を無理やり消す、というイメージに近いかもしれません。

すると、褒められた時に”本気で”謙遜することに、必死になります。

この状態、結構心理的には負担だと思うんです。

結果として、負担を避けたいが故に褒められること自体を苦手だと捉えることにつながる可能性があるんです。

自分の評価を他人に委ねている

自分の評価について、他人やステータスなど自分の外からの矢印(社会からの目)に委ねすぎている場合にも、結果的に「褒められることが苦手」という心理状態になることがあります。

そもそも自分の評価を他人に委ねているというのがどういう状態かというと、「自分の中の価値がある部分を見つけにくい」という状態だと考えられるんです。

この状態だと、自分が自分であること、言い換えるなら、自分が生きていることの存在価値について、感じにくくなると思うんですよね。

すると、他人からの評価が、凄く欲しくなってしまうんです。

だから、頑張って、評価してもらう。

でもまた、自分の存在価値を感じにくくなる。

これをくり返すことにもなるのかなと。

その状態の自分を、大好きになることってなかなか難しかったりすると思うんですよね。

特に自立された方であればあるほど、ふと客観的に自分を見た時に、自分自身を承認欲求が強い人間だと感じ、そのこと自体を否定してしまうことにもなりかねないなと思うんです。

結果として、自分の価値を否定し、その自分が他人から褒められることに違和感を持つこともあるのではと考えられます。

褒められることが苦手だと感じた時の対処法

ではここから、褒められることが苦手だと感じた時の対処法についてご紹介していこうと思います。

どの考え方や方法がしっくりくるかどうかは人それぞれです。

これが正解!というのを見つけるというより、どれならできそうかな?という視点で、ご参考いただければと思います。

自分の本当の気持ちに気づく

褒められることが苦手と感じる人がまず悩むこととして、「褒められたとき、どんな返事をしたら正解なんだろう」ということだったりすると思うんです。

それって、相手と良好な人間関係を持つにはどういうコミュニケーションが必要なのか、必死に考えているということですよね。

そのことにまずは気づいて欲しいと思うんです。

相手に嫌な思いをさせたくない気持ちがあるという自分自身というのは、すごく優しい人ではないでしょうか。

そんな自分に対して、ポジティブな気持ちを伝えてくれているお相手の気持ちを考えると、お相手は心から称賛を伝えたいと思っていると感じませんか?

その視点を持ってみると、出てくる言葉は

「ありがとう」「嬉しい」「見てくれてたんだね」「照れるな〜」

など、にっこり笑った言葉かもしれません。

このように、自分の気持ちと相手の気持ちに目を向けてみることをおすすめしたいと思います。

完璧主義の自分を認め、それ以外の選択肢をもつ

完璧主義って、なんだかあまり良くない言葉として使われることもあると思います。

ただ、個人的にはこの「完璧主義」というのは、必ずしも悪いことではないと思うんです。

だって、そうなるまでには、成長したいという意欲があったり、誰かを幸せにしたいという願いがあったり、迷惑をかけたくないという気持ちがあったり。

それぞれの事情や頑張りから、完璧主義の傾向って出来上がることもあると思うんですよね。

だから、それを駄目なことだと思うのではなくて、そうやって頑張ってきた自分を認めた上で、それ以外の自分でいることも自分に許してみる、ということをおすすめしたいと思います。

つまり、褒められる自分も、いつもの自分も、たまには怒られちゃう自分も、全部揃って自分だよなぁと思うこと。

なかなか1人では難しいかもしれませんが、そういった感覚をもつことで、褒められたら素直に嬉しいと感じることもできるようになっていくのではと思います。

褒められることが苦手だと感じる自分のことを責めない

これは、とても大切なことだと思っています。

褒められることが苦手と感じる気持ち自体を、自分は変だと感じたり、素直じゃないと責めたり、相手の気持ちを受け取らなきゃと無理してしまったりしているとしたら。

余計に今の状況が苦しくなるなぁと思うんです。

すると、自分の気持ちを抑えたり、相手に伝えることも億劫になって、なかなか人と近寄れなくなったり、コミュニケーションをとることが嫌になったりする可能性もあると感じるんですよね。

だからこそ、大事なことは、「どうして自分は褒められることが苦手になったのかな」と、自分自身の事情に目を向けてみること。

その自分を否定せず、事情を把握していくこと。

そしてもし可能であれば、「褒められると苦手なんだよね」と、お友達に話してみることもおすすめです。

私たちは、自分の中に自分を責めていることがあると、相手も同じように自分を責めるだろうと感じやすくなります。

それこそ、投影と呼ばれるものなのですが。

でもそれは、自分の中だけで作り上げたイメージです。

相手に伝えてみることで、もしかすると予想外の反応が返ってくることや、自分の中にある感情が変化することもあるかもしれないなと思うのです。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

今回は「褒められることが苦手と感じる心理と対処法」についてお伝えしました。

誰かから伝えられる言葉って、その時の自分の感情や体調、環境によっても、捉え方は変わってくると思うんです。

なので、一概に、これが苦手ならこういう心理!と定義したり、解決法はこれ!とは言えないなと私は感じています。

誰かに伝えてみましょう、ありがとうと言いましょう、と言われても、それができたら苦労しないよな…なんて、カウンセリングをさせていただきながら思うこともしばしばです。

ただ一つ大事なことは、

「褒められることが苦手」という気持ちのように、「普通嬉しいはずなのに、自分は嬉しいと思えない」と感じやすいものって、自分がおかしい、という感覚につながりやすいと思うんですよね。

そうなると、なかなか自分が楽になる方向には進みにくいのではと思います。

だからこそ、そんな時は、過去の事情に目を向けてみたり、カウンセリングという安全な場でご自身の本当の気持ちに気づいていくことが、お悩みを手放すきっかけになるのかなと感じています。

SNSシェア
  • URLをコピーしました!
目次