「カウンセリングを受けると、どんな効果があるんですか?」
「どういう風に自分が変化していくのか、あまりイメージがわきません」
実際、このようなお声をいただくことがあります。
カウンセリングでは、対話や心理セラピーを通じて”見えない心の領域”を扱うからこそ、
実際に自分に起こることがイメージしにくい場合もありますよね。
また、何回かカウンセリングを受けたことがある場合でも、なかなか自分のプロセスが進んでいる感覚がもてないこともあるかもしれません。
自分の人生をよくしたい!と真剣に向き合っている人ほど、不安になりやすいとも思うんです。
でも実は、こういった疑問や不安は、カウンセリングの「本質」を理解することで解消されていくこともあるんですよね。
そこで今回は、「カウンセリングの効果」と「心が変化するプロセス」を解説したいと思います。
あくまでも、私自身の体験やお客様との関わりの中で私が感じていることであるという前提ですが、ぜひみなさんにお伝えしたい内容になっています。
よろしければ最後までお付き合いください。
カウンセリングの効果とは?
カウンセリングの効果を一言でいうと、「自分や物事に対する認知が変わること」だといえます。
カウンセリングって、何も悩みや問題がないと言う人は、あまり利用されないのかなと思うんです。
もちろん、心のメンテナンスで受けてくださる方もいらっしゃいますが、まだまだ日本では少数派かなと感じています。
つまり、何か悩みや問題を抱えている方が多く利用されるのが、カウンセリングだと思うんですよね。
今私は、悩みや問題を”抱えている”という風に表現しましたが、
この”抱えている”という状態は、”認知している”と言い換えることができると思うんです。
例えば、
いつも短期間で恋人と別れてしまい、恋愛が長続きしない
という悩みを抱えている方がいるとしましょう。
この方のお悩みは、「恋愛が長続きしない」なんですけど、もう少し心理的に深くみていくと、
恋愛が長続きしないことを”良くないことだ(=問題だ)”と感じる認知をしている状態
だと考えられるんですよね。
そして、この認知をする事情は、人それぞれ違います。
ある人は、お友達が1人と長くお付き合いして結婚したことと比較して、自分に何か問題があると感じるかもしれません。
ある人は、自分は恋人から愛されないのかもしれない、そんな自分に問題があると感じるかもしれません。
もしくは、恋愛そのものに向いていないのかもしれない、そんな自分は普通じゃないと感じるかもしれません。
このように、事情は違えど、「自分に何か問題がある」という認知をしている状態が、お悩みになり、カウンセリングをご利用されることが多いんです。
だからカウンセリングの場では、
ご相談内容であるお悩みが「どういう認知からきているのか?」に着目し、その認知が変わっていくことで悩みを解消していきます。
厳密にいうと、悩みが悩みでなくなる認知形成をする、というのが、
カウンセリングの効果だと考えています。
カウンセリングを通じて起こる、心の変化
ここで少し、矛盾しているように感じられるかもしれないことを書くのですが、
カウンセリングを通じて起こる心の変化は、「問題に対する認知が変わること」自体ではないと思うんですよね。
一度想像してみていただきたいのですが、カウンセリングの変化、つまり解決するまでのプロセスってどんなものだと思いますか?
一般的には、
- 問題が起こる
- 問題だと感じるに至る心理的背景を理解する
- 対話やセラピーで癒しを進める
- 問題だと思っていたことへの認知が変わる
この流れを想像する方が多いんじゃないかなと思います。
もちろん間違ってはいないんです。
例えば、
- (問題)男性上司との関係がうまくいかない
- (心理的背景)子供の頃、親戚の男性から怒鳴られた経験があり、トラウマになっている
- (癒し)対話での理解やセラピーを通じて癒し、日常でも行動していく
- (認知変容)歳上男性への認知が変わったり、物理的に慣れることで、上司との関係がいい方向に変わる
こんな風に、問題が解決していくこともあると思います。
だけど、もし本当にこのプロセスだけが起こっていたとしたら…
この男性上司との関係は、うまくいき始めるかもしれません。
それは素晴らしいことです。
一方で、生きていると環境は日々変化するし、状況も変わります。
引っ越したり、転職したり、結婚したり、子供ができたり。
環境や状況が変われば、人間関係も変わり、その都度困ったことはどうしても出てくると思うんです。
その度に、もし癒しが必要だとしたら、これって終わりがないなぁと感じても仕方がないと思うんですよね。
ただ実際は、もちろんメンテナンス的にカウンセリングをご利用いただく場合もありますが、
基本的に”辛くて苦しい時期”のカウンセリングって、ある一定のところでご卒業されるんですよね。
それはなぜか?と言うと、
カウンセリングを通じて起こる心の変化の本質は、
”自分の存在への認知が変わること”
だからなんです。
人生が変わる”本当のプロセス”
カウンセリングは、1回きりで終わることってあまりありません。
先ほどの例でいうと、男性上司との関係が良くなって仕事に余裕が出てきたら、次は昇進に関する悩みが出てくるかもしれません。
もしくは、プライベートを充実させたいと、恋愛に意欲的になるかもしれません。
人によってもちろんプロセスは違いますが、一定期間、定期的に受けていただくことが多いと思うんですよね。
なぜそのプロセスの中で人生が変わっていくのかというと、
徹底的に自分の存在価値を認めていくからなんです。
問題が起こったという認知を持った時、特に自立した人ほど、「自分に何か問題がある」と捉えます。
そしてその根っこでは、自尊感情のバランスが崩れている場合が多いんです。
自尊感情というのは2つに分けることができます。簡単に解説すると、
❶基本的自尊感情
→自分の存在に関して、どんな性質も無条件に肯定できる感覚を指します
❷社会的自尊感情
→自分と他者を比較して得られる、条件付きに自分を肯定する感覚を指します
この2つの自尊感情のバランスが、自分人生を生きていくうえでとても大切になるんですよね。
特に自立した方によく起こるのが、❷社会的自尊感情に自分の価値を置きすぎているパターンです。
この場合、他者と比較することでしか自分自身の価値を感じにくくなります。
よって、常に頑張り続けることにも繋がり、どれだけ成功しても自分の価値を感じられなかったり、自分の存在がよくわからなくなったりする場合があったりします。
言い換えると❶基本的自尊感情が育まれていないため、自分を肯定することができず、めちゃくちゃ辛いんですよね。
この状態だと、何か問題が起こった時に自分を肯定しないまま問題に向き合うこととなります。
でも頑張る。でも燃え尽きる。そしてカウンセリングにいらっしゃる方も多かったり…
さて、なぜこのお話しをしたかというと、
カウンセリングを通じて人生が変わる”本当のプロセス”というのは、
この自尊感情のバランスを整えていくことにあるからなんです。
つまり、問題に対する認知変容に加えて、「自分の存在への癒し」があること。
カウンセリングを受けるたびに、問題が1つ1つ解決していくたびに、少しずつ自分の存在への捉え方が変わっていくこと。
これが、カウンセリングを通じたヒーリング効果であり、意義だと思うんですよね。
カウンセリングで体験してほしいこと
大切なので何度でも言いますが、
「自分の存在を無条件に肯定するような、自分の存在への癒し」が起こるプロセスを、カウンセリングでは体験していただきたいと思うんです。
そのプロセスをもう少し具体的に解説すると、
- ひとつひとつの問題が起こる
- ひとつひとつ癒していく(=カウンセリングのプロセス)
- 実は同時に「自尊感情」が整っていく(=これもカウンセリングのプロセス)
- 最終的に、問題の数だけ「自尊感情」が整い、自尊感情の集合体が出来上がる(=これが自分)
- 自尊感情のバランスが一定整うと、一気に物事の捉え方が変わる(自分の存在への認知が変わった瞬間)
- 問題を問題と捉える必要がなくなる
このような感覚のプロセスだと思っています。
ちなみに私は、このプロセスを経験しています。
だからこそ、お客様の物事の捉え方が変わる瞬間を常に見つめながら、カウンセリング、セラピーをさせていただいています。
故に、今どんな状態であったとしても、絶対大丈夫。そうお伝えできるんですよね。
カウンセリングをご利用いただく際、ぜひ意識してほしいなと思うんです。
1回1回のカウンセリングの中で、自分自身への存在がどう感覚的に受容できているか。
カウンセリングの一番のポイントは、そこにあると私は思っています。
もし、感覚的に掴めなかったとしても、前より少し、確かに受容できた部分があることは、知っていただきたいと思うんです。
カウンセリングの後に感じる気分としては、
ぼーっとしている、あったかい、なんとなく疲れた、泣きすぎて悲しい、楽しい、よくわからない…
色々な感情を感じるかもしれません。
でもその奥に、なんとなく、少しだけでも
いまの自分を褒めてあげたいとか
よくがんばってきたなとか
自分のこころがあったかくなっているような感覚を感じられたら、
どうかそれを大切にしてください。
その感覚こそが、あなたの本当の姿であり、価値であり、存在そのものなんです。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
ちょっと感覚的なお話も多かったかもしれませんが、伝えたいことをそのまま書かせていただきました。
このコラムを通じてお伝えしたいことは、
今何か問題があるとしても、
困っていることがあるとしても、
全て大切なプロセスである。ということだったりします。
苦しい状況にいるときは、大切なプロセスなんて思えないのは当たり前なのですが。
だから、カウンセリングというものがあり、セラピーというものがあり、私たちカウンセラーが存在すると思っています。
いつも頑張っている方ほど、自分を改善し、問題を解決しようとします。
もちろん、その意識でカウンセリングに来ていただいていいんです。
ただ、もしカウンセリングについて不安になったり、わからなくなった時には、
ぜひご紹介した「カウンセリングの効果」と「心が変化するプロセス」について思い出していただきたいなと思います。
では、今回はこの辺で。
このコラムがみなさんの参考になりましたら幸いです。