言いたいことがうまく言えない悩み
本当は言いたいことがあるにも関わらず、うまく言えないことってありませんか?
相手から「どういうこと?」と聞かれることが多かったり、
「よくわからないなぁ」と言われて話が終わってしまったり、
「もっと分かるように言って欲しい」なんて言われると、なんだか悲しい気持ちになったりもするかもしれませんね。
そんなことが続くと、人とコミュニケーションをとるのが怖くなってしまったり、何か自分を変えなければと必死になる気持ちがでてくることもあると思います。
前提として、人との関わり方を2つのタイプに分類するとこのように分けることができるかと思います。
①人と関わるのが苦手で、誰かと話をする時は緊張するタイプ
ひとりでのんびりと過ごす時間や、事務系や黙々と作業をするお仕事を好む場合が多いかもしれません。
②人と関わるのが好きで、初対面の人とでもある程度話ができるタイプ
誰かと出かけることが好きだったり、営業や企画など対話が必要な仕事をする方も多いかもしれません。
もちろん、タイプ①と②のどちらが良いとか悪いなんていうお話ではありません。
それぞれ個性ですし、良さがあります。
ただ、もしタイプ②の”人と関わることが好きで、対話する機会が多い”にも関わらず「言いたいことがうまく言えない」と感じているとしたら、対人関係やお仕事において悩みを抱えることも多いだろうと思うのですよね。
ということで今回は、特に②の特徴を持っている方が多い〈働き女子〉のみなさんが抱えやすい「言いたいことがうまく言えない」というお悩みについて、書いてみようと思います。
言いたいことがうまく言えない心理
さて、言いたいことがうまく言えないという状態でいるとき真っ先に出会うのは、
「言いたいことをうまく言えない、”ネガティブ”な自分自身」なんじゃないかなと思うんです。
”ネガティブ”というのは、例えば今回の場合だと、
「うまくできない」「不器用」「明晰でない」「人と比較して劣っている」など、
自分自身に対して非難する声のようなものが強いかもしれません。
つまり、自分が悪いと感じている要素が大きくなりやすいんですよね。
ただ、言いたいことがうまく言えない状態って、「言いたいことがうまく伝わらない」と感じている状態とも言えると思うんです。
え?言えないと伝わらないって同じでは、、?
と感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、この違いというのが結構重要だと感じるんです。
言いたいことが「言えない」
というのは、自分のスキルとして「言えない」という感覚が強いと感じませんか?
一方で、
言いたいことが「伝わらない」
これは、自分と相手とのコミュニケーションにおいて、何かしらの理由でお互いに伝わらない状況が起こっていると考えられると思うんです。
〈働き女子〉や自立した方というのは、何か物事がうまくいかなかったとき、どうしても自責の気持ちが強くなります。
要は、私が〇〇だからいけないんだ…と感じ、なんとか自分が変わろう、改善しようとします。
このように自分を見直したり努力することは本当に素晴らしいなと感じる一方で、対人関係がうまくいかない場面において、どちらかが100%悪い、なんてことはあまりないんですよね。
だから、まずは自分の感じている感情や状況について、フラットに何が起こっているのか捉え、その時に自分自身が何を感じているのか、心理的に何が起こっているのかを考える、というのは結構大切かなと思うんです。
つまり、今回のテーマである「言いたいことがうまく言えない」というお悩みの捉え方としては、
「(自分以外も含めた)何かしらの事情によって、うまく伝わらないという状態が起こり、それが自分の心理的な不快感につながっている」と考えてみることをおすすめしたいんですよね。
言いたいことがうまく言えない理由
ではここから、言いたいことがうまく言えないと感じるようになる理由として、可能性のある環境や事情について解説していこうと思います。
自分の発言が他人に対してネガティブに作用すると感じている
これは、幼少期を含めた過去の経験からきている場合が多いと考えられます。
例えば、
恋人から「君の言葉で傷ついた」と言われた場合
「私の言葉は大切な人を傷つけた」と感じ、自分の言葉のチョイスや言い方が悪かったんだと、自分のことを責めることがあるかもしれません。
親から「あなたは言い方がきつい」と言われた場合
「私の言い方は良くないんだ」と感じ、普段から自分の発言に気をつかうようになるかもしれません。
このように、相手がなぜそう感じたか、なぜ相手からそんなことを言われたのか、ということは差し置いて、
自分自身が変わらなきゃと感じたり、そもそもこのままではいけないという自己概念をもってしまうんですよね。
すると、自分が言いたいことをそのまま伝えることが怖くなり、「どう伝えるのがベストなのか」に目が向きすぎてしまいます。
結果として、言いたいことが言えないと感じる可能性があります。
身を置いている環境の風土と合っていない
これも、結構あるあるなんじゃないかと思います。具体的には、
学校、職場、暮らしている地域、ママ友関係 …
など、自分自身が長い時間を過ごす環境において、風土が合わないことってあると思うんです。
何が正解だとか、何が良いとかいう問題ではなく、相性なんですよね。
例えば、
ずっと都会で暮らしてきたことが居心地が良かった人は、自然豊かな場所で暮らすことになると、親戚同士のようなご近所づきあいに戸惑うかもしれません。
家族でのんびりと暮らすことが生きがいだった人が、お受験が盛んな地域で暮らすことになると、ママ友同士の会話についていけないなと感じることもあるかもしれません。
決められた仕事を自分のペースでこなして充実していた人が、転職して自由に営業するような会社で勤めると、急に焦りを感じるかもしれません。
環境によって、それぞれ暮らす人の思考傾向や関係性は変化しますよね。
風土が合っているときは、自分の価値観や対人関係について、取り立てて悩んだり考えなくて良いと思うんです。
でも、居心地があまり良くないと感じる環境に身をおく場合、おそらく周りは自分とはタイプの違う人が多くなります。
すると、どうしても自分は少数派だという感覚になり、その状態で「自分はこのままでいい!」と感じることって、相当タフじゃない限り結構難しいのではと思うんですよね。
結果、自分は周りと違う、馴染めない存在だと感じることで、自分自身に対する自尊感情が傷ついていくことにもつながります。
その状態で「自分が言いたいことを言う」というのはできないと感じることは、可能性として高いと思うんです。
特定の相手に対して恐怖心がある
これは想像しやすいと思いますが、
特定の相手に対して苦手意識や恐怖心がある場合、その人に対して言いたいことはなかなか言えませんよね。
その時心理学的には何が起こっているかというと、
相手が自分に対して攻撃できる、つまり、自分は相手に攻撃されても仕方がないと、何かしらの劣等感のようなものを感じている可能性があります。
もしくは、嫌な気分にならないための対処として、あえて心理的に相手を見上げる位置に入ることもあります。
尊敬とはまた違うので、注意が必要です。
どちらの状態であっても、相手の顔や意図を慎重に伺いながら話をしたり対応することになるので、言いたいことを言えない状況になるでしょう。
言いたいことがうまく言えない状態が続くことの問題点
さて、言いたいことがうまく言えないというのが、たまたまだったり一過性のものであれば特に問題はないと思うんです。
もちろん、そのこと自体に悩んでいないという場合は、気にしなくていいことですよね。
ただ、今ご紹介したような、「言いたいことがうまく言えないという状態で悩む」という状態が慢性化してしまうと、なかなか抜け出しづらかったりするんですよね。
例えば、
うまく伝えられないという状態が環境要因によって続いた場合、
それはたまたま環境がそうさせているにも関わらず、
「自分はどんな状況においても、人に言いたいことが言えない人間なんだ」と思い込んでしまう可能性があります。
すると、たとえ環境が変化しても、関わる人が変わっても、合わない環境にいた時と同じように「言いたいことが言えない自分」という振る舞いになってしまうことがあります。
また、別の例でいえば、
元々人と関わることが好きだったり、コミュニケーションが得意だったとしても、自分の言葉に対して気をつかうことに疲れてしまうと、自分の中で矛盾が生じます。
つまり、人が好きなのに、人といると疲れる。こんな風に感じるかもしれません。
この矛盾を抱えた状態はすごく違和感があるので、私たちの心は、その違和感を解消するために”自分の認知を変えようとする働き”をするようになるんです。
結果として、
「自分は人といるより1人の方が好きなんだ」
「自分はそもそも働いたり、社会に出ることが向いていないんだ」
といった風に、元々の性格があたかも違ったかのように認知するようになる可能性があります。
この状態、表面的には心が楽であるように感じるかもしれません。
でも実際は、本来の自分の気持ちをを抑圧している状態なので、ふと物足りなさを感じたり、寂しさを感じたり、自分がやりたいことにチャレンジするモチベーションを削いでしまうことにもなると思うんです。
これはすごくもったいないなぁと思うんですよね。
さいごに
今回は「言いたいことがうまく言えないと悩む心理」について解説しました。
最後に、ぜひみなさんにお伝えしたいのが、
「言えないことが言えないと感じて悩んでいる状態で自分に起こること」というのが、
そのまま自分のスキルや能力や性格ではないかもしれないとということなんです。
どんな人でも、過去の経験や環境の影響で、自分自身の感覚が揺らぐことってあると思うんです。自信がなくなることもあるでしょう。
ただ、それはあくまでも、何か嫌な経験が過去にあったとか、たまたま環境が合っていないとか、その人自身が原因ではない要素がたくさんあると思うんです。
だからこそ、「言いたいことがうまく言えない、伝えられない」この状況は、なぜ今引き起こされているのかな?
という視点を、ある意味客観的に持ってみることで、
悩みがある=自分の価値を低く見積もる ということをしなくて良くなったり、
何か思いもよらない打開策が見つかることもあるんじゃないかなと思います。
そして、こんな風に本当の状況、そして本当の自分自身に気づいていく場所が、カウンセリングだったりします。
なので、ぜひみなさんと一緒にそのプロセスを歩んでいけると嬉しいなと思っています。