「自分を大切にする」ってなんだろう
仕事、勉強、恋愛…いつも頑張っている方ほど、
「もっと自分を大切にしなよ〜」
なんてことを周りから言われることがあるんじゃないかなと思います。
でもどうでしょうか。
正直、「自分を大切にするってどういうこと?」と思ったことありませんか?
・疲れたら休む
・エステやマッサージに行く
・予定を詰め込みすぎない
・好きなことをする時間を作る
・焦って無理をしない
こういうことをすればいいのかなぁとイメージはつくけれど、なんとなく乗り気にならなかったり。
むしろ、そんなに頑張れていない、うまくいっていないのだから、自分を大切にしている場合じゃない!なんて思ってしまうこともあるかもしれません。
私自身、「自分を大切に」なんて数えきれないぐらい言われてきた人間ですが、「やり方がわからん!」といつも感じてきました。笑
でも今になって思うんですよね。
「自分を大切にする」という意味を履き違えていたなぁということ。
そして、本当の意味で自分を大切にすることが、自分の人生を楽しく生きていくうえで本当に大切だということ。
ということで今回は、本当の意味で「自分を大切にする」ということをテーマに書いてみたいと思います。
「自分を大切にする」意味とそれに伴う心理状態
「自分を大切にする」とは?
「自分を大切にする」というのは、
【自分を信頼し、今の自分の状態に良い悪いの判断をしない】ということを意味していると言えるんですよね。
今の状態を否定しないということが、自分を大切にするときの絶対条件だともいえます。
自分を大切にしている状態とそうでない状態がそれぞれどんな心理状態かというと、このように表現することができます。
どんな出来事が起こったとしても、それによって自分がどんな状態(感情や感覚など)になったとしても、自分を否定しない心理状態
自分を大切にできていないときの心理状態
自分の状態(感情や感覚など)に対して、”良くない”もしくは”改善しなければいけない”など、何かしら否定的な感情を感じている心理状態
そして、自分を大切するのが苦手(もしくは分からない)という人は、この「自分を大切にできていないときの心理状態」になることが多いのかもしれません。
いかなるときも自分を否定しない心理状態であるならば、自分を大切にする方法に悩むことなんてないと思うのですよね。
自立的な人が「自分を大切にする」ことを頑張ってしまう罠
なぜこんな話をしているかというと、実は、前提としてこの違いを知っていることがすごく大切なんです。
というのも、
普段から頑張って自立している方ほど、「自分を大切に」と言われると、今の状態に「自分を大切にする」という要素をプラスするというイメージを無意識に持たれることが多いと思うんです。
つまり、ちょっと変な言い方ですが、
頑張っている状態のまま、自分を大切にすることを更に頑張るみたいな、不思議な状態になることもあるのかなと。
これでは、「自分を大切にする」ということに取り組んだとしても、自分の心や身体が楽になることには繋がりにくいと思いますし、
「自分を大切にしようと色々やってみたけど余計に疲れちゃった」なんてことも起こりますよね。
だからこそ、「自分を大切にしたい」と思った時に一番大切なのは、
頑張りすぎていたり、周りから「自分を大切にしなよ」と言われる、その状態の自分自身について否定しない。
否定せず、その状態になっているのはなんでだろう?という視点で、客観的に自分の状況を捉えてみる。
この意識だと思うんですよね。
「自分を大切にする」ということが難しいのはなぜ?
成長の過程では、自分を否定することが必要だった
とはいえ、「自分を大切にする」ってなかなか難しいと感じることが多いと思うんですよね。
なぜ難しいと感じるかというと、私たちは【できない自分を否定することで、できることが増えてきた】という成長のプロセスを歩んできたからだと考えられるんです。
学生時代の勉強がいい例ではないでしょうか。例えば、
英語の点数が低い→これでは受験がうまくいかないかもしれない→今の学力ではだめだ(自分の能力の否定)→点数を上げるために勉強しなければ→勉強したら点数が上がった(できることが増えた)
このような経験って、数えきれないほどしてきていると思うんですよね。
できない自分を否定して、頑張ってできるようになったことで褒められたり評価されたという経験があるという方も少なくないと思います。
このような経験はもちろん成長の過程でとても大切ですし、大人になってからの基礎力になります。
ただ、これはあくまでも一つの成功パターンであって、できない自分が「悪い」というわけではないですよね。
極端ですが、赤ちゃんは、全てのことが自分でできません。
だから、できることを増やしていくのは当然です。
でも、大人になると、私たち一人一人に、得意があり、不得意があり、できないことが一つもないというのは不可能に近いと思うんです。
それが個性であり、バラバラの得意不得意を持った人の集合体が社会であるからこそ、うまく循環しています。
会社で例えると、Excelが得意な人、コミュニケーションが得意な人、英語が得意な人、それぞれが強みを活かすことが、様々なフェーズがスムーズに進むことに繋がるということは、イメージしやすいのではないでしょうか。
ですが、なんらかの事情で「苦手なこと、できないことがあるのは悪いことだ」といつも感じていたり、「苦手なこと、できないことに必要以上に目がいってしまう」という状態になっているとすると、
常に自己攻撃、自己否定をすることにつながります。
自己攻撃・自己否定があると、自分を大切にすることは難しい
自己攻撃・自己否定をしている状態は、先にご紹介した
どんな出来事が起こったとしても、それによって自分がどんな状態(感情や感覚など)になったとしても、自分を否定しない心理状態
というのと真逆の状態ですよね。つまり、
起こった出来事に対して何かしらネガティブが感情を感じたとき、「〇〇ができない自分が悪いんだ」「こんな自分だからこの出来事が起こったんだ」と、過去も含めた自分自身が原因でネガティブな出来事が起こったと解釈してしまう状態といえます。
実は、仕事ができる人や、責任感の強い人、愛情深い人ほど、この感覚を感じやすくなります。
いわゆる、自責思考と呼ばれるものです。
もし起こった出来事の原因を自分の外に置いてしまう(他責思考)と、自分で解決できない、つまり自分の人生の決定権を自分以外に委ねてしまうことになるので、それはそれで苦しい感覚にもなります。
なので、自責思考というのが悪いというわけではないんです。
むしろ、自分の人生をしっかり歩んでいける状態ともいえますし、そういう人は周りからの信頼もあつくなりますよね。
ただ、もしその傾向が強くなりすぎると、全てのネガティブな出来事は自分のせいだと感じてしまいます。
その状態で自分を大切にするというのはなかなか難しいし、完璧ではない(=悪い部分がある)自分のことを大切にしたり、甘やかすわけにはいかないと感じることもあるでしょう。
すると、「自分を大切にする」ということを一切選択できなくなり、感覚としても良く分からないと感じることにも繋がると思うんですよね。
「自分を大切にする」方法〈4Step〉
では、自分を大切にする方法〈4Step〉をご紹介しようと思います。
が、先に申し上げておくと、「これをすれば自分を大切にできるよ!」などといった方法論は、正直ないと思っているんです。
それぐらい、この「自分を大切にする」というのは自分の本質と繋がることなんです。
逆にいうと少しずつでも「自分を大切にする」ということができるようになると、人生の見え方、感じ方って本当に変わるとも思っているんですよね。
ということで、少し抽象的なものも含まれるかもしれませんが、「自分を大切にする4ステップ」はこちらです。
「自分を大切にする方法〈4Step〉」
- 今一番心に引っかかっている直近の出来事を思い出す
- なぜその出来事が心に引っかかっているのか、自分の感情・感覚を探る
- 感情・感覚の中に潜んでいる、自分以外の人への想いを探る
- 起こった出来事にポジティブな意味があるとしたら、何かを探る
究極的には、この「自分を大切する」というのは、”できるようになる”、というよりも、自分の内面に問いかけていくことで、気がつくと勝手に”自分のことを大切にするのが当たり前になっている”というプロセスが必要だと思うんです。
だからこそ、「日々これを意識すればいい」「こんな風に他人と関わればいい」「こんな行動をしてみるといい」とお伝えしてしまうと、それを達成することに目を向けて、結局また頑張ってしまう、そんな風になってほしくないなという、藤崎の願いでもあったりします。
そしてこのプロセス、実際のカウンセリングの中で大事にしている対話であったり、セラピーの一部だったりするんですよね。
自分に起こった出来事、感情・感覚、そして想い。
それらを、どうかネガティブに捉えないでいただきたいんです。
その先に、必ず意味があり、そして自分を大切にするということの「本当の状態」が見えてくると感じています。
さいごに
今回は「自分を大切にする」ということをテーマにお伝えしました。
当たり前のようで、簡単なようで、実は本当の意味で「自分を大切にしている」状態の方って、少ないのではと思うんですよね。
それはカウンセリングの中でも日々感じることだったりします。
ただ、体感的に自分を大切にすることができると、本当に人生は変わります。
思考パターンや、人や出来事に対する感じ方、見えかた、全てが、なんとなく自分の味方のような、そんな感覚になったりもします。
なかなか信じられないのも、無理はないと思うんです。
それこそ、これまで苦労されてきたり、それでも必死に頑張ってこられたり、誰かのために笑顔で生きてこられたり。
そんなご経験があるからこそ、信じられないと感じられることもあるのだろうと。
ただ、もしそんな世界があるのなら、味わってみたい。
そう思うことが大きな1歩だったりします。
今回のコラムが少しでも「自分を大切にする」きっかけ、そしてあなたの人生がより充実したものになるきっかけとなれば嬉しいです。